ひとことで言うと
In One LineSBI証券のFXで、担保の株が数えられず、本来は起きないはずのロスカットが779口座で起きていたことが、会社の発表で分かりました。
原因は、FXのシステムの運用を任されていた外の会社の担当者の作業ミスと、そのミスを止められないシステムの作りです。SBI証券は「深くお詫び申し上げます」としています。
779口座のうち407口座は、10月13日の朝にロスカット前のポジションへ戻しました。残りの372口座は、そのあとに取引や入出金をしていたため、一律には戻さず、本人の希望を聞いて個別に対応します。お金での補償については、発表には書かれていません。
前の記事「SBI証券のFX、メンテ明けにロスカットの声が続出!何が起きた?」の続報です。
誤ったロスカット
10月12日の取引開始から
13日5時30分までの間。
13日朝に復元ずみ
そのあと取引も入出金も
していなかった人。
個別に対応
そのあと取引・入出金・
振替をしていた人。
779口座で何が起きたのか
What HappenedSBI証券には、持っている株をFXの証拠金(取引の元手)の代わりに使える「株券担保サービス」があります。発表によると、10月12日(月・祝)の取引開始時から、担保の株の値打ちが証拠金に入らない状態になっていました。
そのせいで、口座の元手が実際より少なく計算され、「証拠金が足りない」と間違って判定されました。こうしてロスカットされたのが779口座です。

SBI証券は、10月13日(火)4時から5時30分に臨時メンテナンスをして、担保の数字を正しく直しました。また、13日2時の判定にもとづく強制決済は止めたとしています。
なお、この障害は作業のミスによるもので、外からの不正アクセスではなく、個人情報やお金の情報が漏れたこともないと説明しています。
用語カード
ロスカット
損が大きくなりすぎる前に、会社が自動でポジションを決済してしまうしくみ。
ポジション(建玉)
いま持っている「買い」や「売り」の取引のこと。
代用評価額
担保として数える株の値打ち。今回はこれが証拠金に入らなかった。
追証(おいしょう)
証拠金が足りなくなったときに、追加で入れるよう求められるお金。
原因は「再委託先」の作業ミス
The CauseSBI証券は、FXのシステムの運営を、グループのSBIリクイディティ・マーケットに任せています(委託)。そのSBIリクイディティ・マーケットは、運用の仕事の一部を、さらにインターネットイニシアティブ(IIJ)に任せていました(再委託)。

発表によると、10月10日(土)の夜中、担保の株のデータが入ったファイルの到着が予定より遅れました。ファイルは1時25分までに届いていましたが、再委託先の担当者が別の処理と思いこみ、やり直すべき取り込みをしなかったそうです。
3時19分、担当者は担保の株のデータと株価の終値のデータ、この2つのファイルを取り込まないまま、次の処理を動かしました。システムの側も、必要なファイルがそろっているかを確かめずに先へ進む作りだったため、ミスに気づいて止めることができませんでした。

10日のミスが、3連休の臨時メンテナンスが明けた12日の取引開始で表に出た、という流れです。
用語カード
委託(いたく)
自分の会社の仕事を、ほかの会社に任せること。
再委託(さいいたく)
任された会社が、その仕事の一部をさらに別の会社に任せること。
終値(おわりね)
その日の取引の最後についた値段。担保の株の値打ちを計算するもとになる。
ポジションは戻る?補償は?
What SBI Will DoSBI証券は、本人の希望を確かめたうえで、「障害が起きなかった場合の状態に戻す(ポジションの復元)」を基本に対応するとしています。人によって対応が分かれます。
- ロスカットのあと、取引も入出金も振替もしていない人(407口座):13日の臨時メンテナンスで、ロスカット前のポジションに戻しました。戻してほしくない人は申し出られます。
- ロスカットのあと、取引・入出金・担保の株の振替のどれかをした人(372口座):あとの取引に影響するおそれがあるため、一律には戻していません。希望を聞いて個別に対応します。
- 強制決済を避けるために、自分でポジションを決済した人など:同じく、希望を聞いて個別に対応します。
それぞれの人には、13日にログイン後の「重要なお知らせ」で案内を出したとしています。一方で、お金での補償(見舞金など)については、10月14日の発表には書かれていません。個別対応の期限や方法の細かいところも、公開の発表では分かりません。
Xでは14日昼ごろから、「個別対応の案内が届いた」「復元と建て直しは同じなのか」と迷う投稿や、「補償はどうなるのか」を気にする投稿が見られました。これらは利用者の投稿で、会社の発表ではありません。

もう1つ大事なのが、この件に便乗した怪しいメールやSMS、電話です。SBI証券は、この件でユーザーネームやパスワードを聞くことはない、と注意を呼びかけています。案内はログインしたあとの画面で確かめましょう。
用語カード
ポジションの復元
間違って決済された取引を、決済される前の状態に戻すこと。
振替(ふりかえ)
お金や株を、口座の中の別の場所へ移すこと。
便乗詐欺(びんじょうさぎ)
話題の事件に乗っかって、会社のふりをしてパスワードなどを盗もうとする手口。
これからどうなる?
What Comes NextSBI証券は、再発を防ぐために次の3つを挙げています。
- 再委託先に、ファイルを受け取るときの確認とやり直しの手順を見直させ、守らせる。守れているかはSBI証券が確かめる
- 再委託先も含めて、任せている会社の管理のしかたを見直し、監督を強くする
- 障害が起きたときに、利用者へ早く分かりやすく知らせる体制をつくる
会社の業績への影響は「軽微」としています。金融庁の報道発表のページを10月14日15時30分ごろに確かめたところ、この件についての金融庁の発表はありませんでした。

お問い合わせは、SBI証券のカスタマーサービスセンター(平日8時から17時)で受け付けています。固定電話は0120-104-214、携帯電話は0570-550-104です。
よくある質問
FAQ自分が779口座に入っているか、どうやって分かりますか?
SBI証券は、対象の人に13日、ログイン後の「重要なお知らせ」で案内を出したとしています。まずそこを確かめてください。
ポジションを戻してほしくない場合は?
407口座の人は、申し出れば受け付けるとしています。372口座の人などは、もともと希望を聞いてから対応します。
お金での補償はありますか?
10月14日の発表には、お金での補償の話は書かれていません。新しい発表が出たら、このサイトでお知らせします。
株を担保にしていない人も影響がありますか?
発表の対象は「FX株券担保サービス」です。それ以外への影響は書かれていません。
不正アクセスや情報漏れではないのですか?
SBI証券は、外からの不正アクセスではなく、個人情報や資産の情報の流出はないと説明しています。
あわせて読む
Related出典:SBI証券「FX株券担保サービスにおけるシステム障害の発生とお客さまへの対応について」(2026年10月14日、PR TIMES)/ITmedia NEWS(10月14日)/金融庁 報道発表資料(10月14日15時30分ごろ確認、発表なし)。Xの投稿は利用者の声で、会社の発表ではありません。10月14日15時時点の情報です。
